2006年春から準備が進められていた「海運九条の会」が、結成された。事務局から、結成総会までの経過が説明され、総会アピール(別刷り)を採択して、憲法九条を守る運動を広げる決意を固めあった。総会には、22名の会員参加があり、「九条の会」事務局の川村俊夫氏の記念講演(新たな局面をむかえた改憲の動き)を拝聴した。結成総会時点で、呼びかけ人32名、賛同者86名、合計118名となっていることが報告され、カンパの訴えも提起された。会場には、横断幕も張られ、会員からの積極的な手作りクッキーや九条グッズの提供・販売も行なわれた。総会参加のHさんから地域の「九条の会」の活動状況が、Aさんからは、自らの体験談が、また斉藤前町議の船長時代の経験が、Sさんからは、船舶検査活動について報告された。最後に呼びかけ人のお一人であるOさんから、2007年2月22日(木)、経済同友会終身幹事の品川正治さんを講師に招く計画も披露され、閉会の辞が述べられた

k結成総会アピール
 海運産業にとって、「平和な海」は安全と事業の継続に直接にかかわる大前提となるものです。先の大戦では、6万を超える海員が、無防備の「商船」とともに戦没したと記録されています。すでに有事法制の下では、自衛隊法103条によって、交通運輸労働者は従事命令に協力することが求められています。
  自民党新憲法草案のような改憲によって、業務従事命令は、協力から強制へと変えられるでしょう。「大砲はバターを奪う」の言葉のとおり、戦争は自由と民主主義を破壊するだけでなく、生活を破壊します。
  
安倍首相は、10月31日、英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、「時代に合わない条文として一つの典型的な例は九条だろう」と改憲の狙いをあけすけに語りました。憲法前文は、「これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」と明記しています。

 「人類普遍の原理」とはいかなる原理をさすのでしょうか。近代憲法の流れを受け継いで生まれた日本国憲法は、国民主権という政治体制を手段として、基本的人権の尊重と平和主義を実現することが、憲法制定の目的であると宣言し、この三原則を「人類普遍の原理」と呼んで、これに反する「一切の憲法」を排除したのです。前文を書き換えて平和原則を取り払い、九条改変で「海外で戦争をする国」にすることは、まさに憲法前文で排除している基本原則の変更に当たります。
  九条の会が発足してから2年半。九条を守れの一点での幅広い共同がますます広がり、草の根の「九条の会」は6千に達し、「燎原の火」にたとえられるめざましさです。「九条の会」結成の呼びかけ人の一人である澤地久枝さんは「日本人は始めて市民運動の大きな一歩を踏み出した」と述べ、井上ひさしさんは、日本国憲法を捨てることは「世界の人たちから、希望をうばうことにな」ると書いています。
 日本国憲法は、公布から60年たって古くなるどころか、その先進的な内容がいよいよ輝きを増しています。それは「国際紛争の解決は、軍事でなく外交で」という新しい平和の秩序を求める世界中の人たちによって、「戦争のない世界」へのさきがけになろうとした日本国憲法の普遍的価値が高く評価されてきているからです。
  私たちは、「九条の会」が発したアピールに賛同し、思想・信条・政治的立場の違いを超え海運産業にかかわる人々が参加する「海運九条の会」を結成し、憲法を学び、生かすことによって、どんなに明るい未来が開かれるかを語り合い、国民過半数の世論で改憲を阻止する運動の一翼を担いた いと希求します。

   2006年11月26日  

  
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